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第7部「底力」

7部 底力





コンビニ  7時01分   植杉・石羅・高内
「・・・・」
いつもなら明るい3人も流石に静かになっていた。
「・・・こ、これからどうする?」
重い空気の中、C組の石羅が口を開いた。
「やっぱ・・・その気の無い男女をとりあえず集めよう」
「そだね」
その時だった。
「ふざけんなょっ!!」
コンビニの外から男の大声が聞こえた。
「るせぇ!!てめぇだろ!?」
それに続き違う男らしき声が聞こえた。
「・・・何?」
A組の植杉が外を見る。
そこにはB組の孫とC組の杉川が言い合っていた。
「ど、どうしたのかなぁ・・・」
心配そうな顔でC組の高内がのぞく。
「おい、おめぇなんなんだょ」
杉川が孫の胸ぐらを掴む。
「・・・お前には関係ない、だから俺は・・」
「っから何なんだょ!!!!」
杉川の右拳が孫の頬へと飛ぶ。
【ゴキッ!!】
鈍い音が鳴る。
孫は倒れると同時に腰元に付いていた包丁を取り出し、立ち上がって振りかぶる。
杉川はそれをしゃがんで避け、包丁を蹴る。
「てめぇ・・・・何考えてんだョ・・・!!!」
「ぅ、うるせぇ。死ねぇぇ!」
孫は包丁を拾って杉川へと投げる。
「!?」
【スパッ!】
包丁が杉川の腹部を傷つける。
「ッッガァーーー!!!!」
杉川は地面でじたばたと暴れる。
『・・・・プツン・・・・』
「・・・・ハッ」
しかしすぐ杉川は立ち上がって背中から縄を取り出す。
杉川は孫を殴り、倒れたらすぐに孫の首に縄をかける。
「てめぇが死ぬんだょ・・・」
杉川は冷たい目をしながら縄を持つ両手に渾身の力を込める。
「・・・あ・・・くく・・・つぅ・・・!!」
抵抗するが、杉川は動じなかった。
「・・・・・・」
孫の体の動きが止まった。
「・・・・はっ」
杉川は、我に帰り自分のした事に気付く。
「・・・あぁ・・・俺は・・・俺が・・・」
そして叫んで走っていった。

「・・・・」
3人はコンビニの事務室に隠れていた。
「・・・い、行ったかなぁ・・・」
「怖かった・・・」
「・・・孫・・・死んじゃったのかなぁ・・・・」
「ヤ、ヤダょ・・・怖い・・・」
「・・・て、ていうかここ離れよう」
「また杉川戻ってきたら大変だからさ・・・」
「・・・そうだね」
3人は立ち上がり、コンビニから出て杉川の行った方向と反対へと走って行った。

川岸  9時04分   守川・亀横
【かしゃっ、かしゃっ、かしゃっ】
2人は水辺を、石の音をたてながら歩いていた。
「・・・・ふぅぅぅー」
守川が大きなため息を吐く。
「・・・あ、ダメだょ守川くん、ため息は幸せが逃げるんだょ」
「・・・・・へぇ」
「・・・・・・・(´・ω・`。)」
「・・・!!」
守川が止まる。
「ぇ、何?どうしたの・・・」
高い弾いたような音と共に守川達のとこに銃弾が飛んできた。
「っっぶんねぇ!!」
守川はしゃがんだ。
「・・・守川くぅん・・・大丈夫・・」
「当たってねぇょ。お前は早く隠れてるか逃げるかしろ・・・」
「えぇ・・・でも私も一緒に・・・」
「足手まといなだけだ。助けるとは言ったが、一緒に戦うとは言ってねぇはずだ」
「・・・・」
「死んだら・・・どうもこうもなんねぇだろぅが・・・早く行ってろ」
守川は左方向の林を指差した。
「・・・ぁ、ありがとぅ・・・」
亀横は林へと走って行った・・・

「・・・さてと・・・誰だ・・・?」
前方からさっき銃を撃ってきた人がこちらへと歩いてきた。
「・・・おっと、守川か。さっきいたのは誰だょ?」
B組の獏だった。
「・・てめぇかょ・・・なんで撃ったんだょ・・・」
「良いから質問に答えろょ」
「・・・・お前はあくまでも一緒にいくとかはする気ねぇと・・・」
「あぁ、当たり前だ、生き残る。生き残って良い大学に入る」
「・・・・また勉強の事かバァーカ。・・・・なら、俺も殺るのか?」
「あぁ、当たり前だ」
「殺れんだったらどうぞ・・・!!」
その直後、守川は走って獏に向かう。
獏は腰から銃を抜いた。
「カンッ!!」
守川は獏の右手の銃を蹴り、獏に殴り掛かる。
「・・ブンッッ!!」
しかし獏はその拳を軽々と避け、守川の腹を蹴る。
よろめき、体制が低くなった所を今度は首の後ろ当りにヒジを振り下ろした
【ドシャァッ!】
守川はその場に倒れる。
「守川、お前は力が強いだけで技術が無い・・・しばらくは立てない、まだ殺しはしない、さっき逃げた女を殺してから殺す」
獏は林へ歩いて行こうとした。
【バンッ】
川辺に2度目の銃声が響く。
・・・・獏の口から血液が滴る。
「す・・・がわ・・・おま、え・・」
獏はその場に倒れた。
「・・・はぁ・・・いてぇ・・」
守川は立ち上がって銃を構えていた。
「俺をなめんな。・・・・かぁぁ、くらくらするわぁ・・・首のは辛かったわ」
守川は歩いて獏に近付き、まだ意識のある獏の足を掴み、川へとほおり込む。
「・・・!?・・この・・・守川ぁぁぁ!!絶対に殺してやるぅー!!」
川の水は、獏の腹部から出る血液により、赤く染まっていた。
深い川だったらしく、獏は下流へと流れて行った。
守川はうつ伏せで倒れる。
『・・・しばらくはこうしてよう・・・くらくらしてろくに歩けやしねぇ・・・』
守川は休む事にした。
『亀横・・・大丈夫かなぁ・・・』







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